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こい(@gyaradus)のブログ

【ゴーゴリ】『外套・鼻』──2022年4月に読んだ本について

 4月に読んだ本からとくに気になった5作品の紹介。

 

 

1.『ナイルに死す』(アガサ・クリスティー

 ミス研《リーズニング・クラブ》の4月の課題本。冒頭から伏線はしっかり貼られているのに、なぜか読んでいる間は犯人にたどり着けない……というクリスティーお得意のテクニックを存分に味わうことができる。クリスティーは類型的な人物を描くとよく評されるが、その“パターンへの印象”ひとつひとつを、読者の心理の方向を操るパーツとして利用しているのではないか、という意見が出された。いってしまえば、読者の「偏見」を利用するのがパズラーの基本であるから、“キャラクター”的な描写はそれを規定する要素として役立つのだ。美少女アプリゲームをはじめとして、キャラクター文化が根づいている今、これを現代風に役立ててみるのもおもしろい。

 

 

2. 『リヴァイアサン』(トマス・ホッブズ)

 世界史や倫理、政治・経済で「専制政治」を習った人間の多くはホッブズ権威主義者のような印象を抱いていると思うのだが、この代表作を読むと、むしろ「人間は本来平等である。」とそのまま書いてある。権利の主張を当然のものしているし、職業人たちの経験の価値を高く評価していて、「すべての能力を統合するなら人間に個人差などない」など権力者(インテリであることも含む)の傲慢を戒めるような言葉も多い。自分がたどりついた独特の真理というのはただの思いこみで、手前勝手な定義が増殖しないように過去の文献を探らなくてはならない、なんてことまでいっていて、とことん「ルール主義」だ。「正義などない」という意見(こういうものについてもホッブズは不快感を表明している)が多くの人間に歓迎され、「表現の自由」が攻撃の手段に用いられ、自己主張の一環としてミステリの紹介記事にネタバレをリプライしてくるSNSの無法地帯ぶりを見ると、巨大な政治権力に「秩序」を維持してもらいたがっているホッブズの気持ちがわからなくもない。ウェブにおけるその秩序のラインが(いまは?)曖昧だからむずかしいんだけど……。

 

 

3.『外套・鼻』(ニコライ・ゴーゴリ

 初読時もアカーキイの素朴な雰囲気が好きでたのしく読んだが、『肖像画』を経由すると、この作品への印象も変化している。もともと印字の役人仕事に熱中していたアカーキイが、外套を手に入れてから、これまで守っていた規範を逸脱し続け、最終的には死に至ってしまう、という筋書きは、「身の丈にあわないことはすべきではない」と読むことができる。“外套”は、持っているだけで危険をはらみ、自分を依存させてしまう”権力”の寓意だろう。一方、外套を手に入れるという「目標」ができた途端に、生活が清貧となり、意志も強固になっていく様子も魅力的で、このプロセス自体には否定的な描き方はなされていないように思える。この作品も『肖像画』と同じく、「自分の規範を見失わない」ことの大切さが主軸となっているのだろうか……。ただ、この作品のおもしろさの肝を考えていくと、そこらへんの地味な役人のおじさんが、ささやかなことに人生のたのしさを見出している微笑まさしさで、そこは初読の感想と変わらなかったりする。

 

 

4. 『モチベーション3.0』(ダニエル・ピンク)

 学生時代に心理科の某教授の「動機づけ」の講義に関連して読んだ本で、モチベーションのコントロールのため、眼を通した。「このやり方で一発逆転!」のようなことは書かれておらず、「正当な報酬が出なきゃやりがいなんて出ない」「効果が出るのはけっきょく地味な学習の反復」「訓練の目的を明確にし改善点に焦点を合わせる」と書き連ねてあるのが、常識的でいい。とにかく、現状、自分が目的に即した行動を行えているかどうかというのが、すべてで、自分の意志自体もコントロールするために工夫を加える必要がある。

 

 

5. 『Q.E.D 証明終了』(加藤元浩)

 全巻無料開放キャンペーンを行っていたので、SNS内での紹介もかねて、いくつか読み返していた。こうやって話題になるタイミングがあると、さまざまな知見を得ることができておもしろい。全話を通して読むと、話が進むごとに、画風もストーリーもすっきりしていって、謎解き重視の作品として洗練されていくのを感じる。「謎解きのプロセスや真相の逆転がそのまま作品のテーマとつながる」という構成はチェスタートン的だし、数学やパズルなど幅広いテーマを積極的に謎解きに組みこんでいるのもアシモフ風で旨味だ。今回のキャンペーンで、「ライトミステリー」や「ジュブナイル」という評価を見かけたが、わたしの好みとしては、謎解き主体の作品なら、こういう落ち着きのある、それでいて真相はピリッと快感をもたらす雰囲気がいい。24巻収録の「罪と罰」をわたしのおすすめ作品としてあげておこう。

 

 

 

その他4月の活動

 

『メジャー 68巻』の記事で「4月から高校の学習内容を勉強する!」と意気ごんだのはいいが、勉強漬けには程遠い状態だ。こういう高校生まで身につけなくてはいけないであろう意識のコントロールをサボってきたツケを払わされている。数学は、Ⅲの理解を深めるため、白チャートI+Aの解説欄を用語をおさえながら読み、EXERCISESを解きながら、やり直している状況だ。さすがにサクサク進むが、確率の問題では、苦戦するものもいくつかあった。もともと得意ではない平面図形はこの3倍ほど時間がかかるだろう。いちおう、センター過去問得点率85%を当面の目標に置くが、今年中に達成できるだろうか……。(4月の勉強記録は以下の通り)

 

──2週目

【4/10】(190分)
英語 125分(速即・DUO・大矢)
数学 35分(計トレ)
日本史 30分(日一)

 

【4/11】(250分)
英語 30分(速即)
数学 90分(白複平)
国語 90分(ステ古)
化学 25分(新理)
物理 15分(エセ電)

 

【4/12】(255分)
英語 30分(速即)
数学 180分(白複平、白関)
国語 30分(ステ古)
化学 15分(新理)

 

【4/13】(255分)
英語 30分(速即)
数学 90分(白ベク、白関)
化学 120分(新理)
物理 15分(物黄)

 

【4/14】(245分)
英語 15分(英作300)
数学 185分(白関)
物理 15分(物黄)
日本史 30分(日一)

 

【4/15】(115分)
数学 65分(白極)
国語 25分(ステ古)
化学 25分(新理)

 

【4/16】(0分)
休養


──3週目

【4/17】(180分)
英語 60分(速即)
数学 65分(白関)
国語 40分(ステ古)
化学 15分(新理)

 

【4/18】(330分)
英語 30分(速即)
数学 210分(白関、白三角)
国語 15分(ステ古)
化学 45分(新理)
日本史 30分(日一)

 

【4/19】(270分)
英語 25分(速即)
数学 245分(白関、白三角)

 

【4/20】(345分)
英語 100分(速即)
数学 230分(白関、白データ)
日本史 15分(日一)

 

【4/21】(185分)
英語 15分(速即)
数学 65分(白データ)
国語 70分(ステ古)
化学 35分(新理、化重) 

 

【4/22】(280分)
英語 75分(速即)
数学 80分(白データ)
物理 50分(黄物)
日本史 75分(日一)

 

【4/23】(0分)
休養


──4週目

【4/24】(270分)
数学 90分(白関、白三角)
国語 90分(望古)
日本史 90分(日一)

 

【4/25】(270分)
英語 90分(速即)
数学 180分(白データ、白場数)

 

【4/26】(270分)
英語 45分(速即)
数学 195分(白場数)
物理 30分(橋波)

 

【4/27】(270分)
数学 210分(白確率)
物理 60分(橋電、橋原)

 

【4/28】(150分)
数学 150分(白確率)

 

【4/29】(0分)
休養

 

【4/30】(0分)
休養