鍋の中にはカルプフェン

こい(@gyaradus)のブログ

ロシア文学

【トルストイ】『戦争と平和』──だれもが“物”になりたがっている

心に虚無がおとずれることがある。なににも集中できず、頭に浮かぶのは、広がる白地にΩ(空っぽな頭)のマークが記されているイメージだけ。とりあえず外を出歩いて、名前を知らない雑草が無秩序に生い茂っている様子を眺める。黒ずんだ雲が広がっている様子を…

【ドストエフスキー】『罪と罰』──「ファッションキチガイ」という言葉が嫌い

問題行動を起こす人間にたいして「ファッションキチガイ」ということばが使われることがある。「ほんとうはふつうの人間なのに、わざとおかしなことをして気を引こうとしている!」くらいのニュアンスで使われているようだが、わたしはこのことばが嫌いであ…

【ゴーゴリ】『外套・鼻』──2022年4月に読んだ本について

4月に読んだ本からとくに気になった5作品の紹介。 1.『ナイルに死す』(アガサ・クリスティー) ナイルに死す〔新訳版〕 エルキュール・ポアロ (クリスティー文庫) 作者:アガサ クリスティー 早川書房 Amazon ミス研《リーズニング・クラブ》の4月の課題…

【ゴーゴリ】『肖像画』──「自分が描きたい世界」を“見透す”ことの価値

前々回の記事ではじめて書いたホラー小説『ゴールデン・インク』を紹介した。こういうのはだいたい「予想以上に読まれていて恐縮しています……」とかいうのがお約束なのだが、わたしの作品の閲覧数は、なんと2PVであった。しかもその2PV分は最初の1話目にしか…

【ドストエフスキー】『悪霊』──ステパン先生ってSNSでよく燃えてそう

SNSをやっていると、明治~昭和中期あたりの作家・思想家の発言を切り抜いたものが流れてくることがある。1行程度のことばで「○○とは△△である」のようなラベリングをしている(ように見える)ものが多く、なにかしらの見解を正当化したいひとが「昔の偉いひと…