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こい(@gyaradus)のブログ

【鎌倉文学】『徒然草』「第58段」──封印~さらば、ポケモンSV~

「道心あらば、住む所にしもよらじ。家にあり、人に交はるとも、後世を願はんに、かたかるべきかは」と言ふは、さらに後の世を知らぬ人なり。げには、この世をはかなみ、必ず生死をいでんと思はんに、なにの興ありてか、朝夕君につかへ、家をかへりみる営みのいさましからん。心は縁にひかれて移るものなれば、しづかならでは、道は行じがたし。
(吉田兼好徒然草』)

「本当にやる気があるひとなら、集中力がとぎれるような状態でも集中できるはずだ」などということばを吉田兼好は無知なことだと看破する。人間のこころというものはそもそも周囲との関係に流されやすい。本当にやる気がある人間ならば、むしろ修行に集中するため、そういう厄介な状態をできる限り避けるはずである。
 わたしもこれを読んで決心がついた。この土日を『ポケモンSV』のランクマッチで溶かしてしまったのは、わたしに真剣さが足りなかったためである。相手のコノヨザルに鬼火を当てて切断された一瞬、相手のハバタクカミを毒と塩に漬けてから守るを使い続けた一瞬、わたしのなかに邪悪なものが芽生えているのをひしひしと感じていた。このようなおそろしいものは封印し、一刻も早く日常を取り戻すべきだ。

↑絶望の使徒、ドラパルト

 

 というわけで、ポケモンSVは封印することにした。すくなくとも今シーズン(シーズン3)の終了付近まではやらないつもりである。わたしには大ミステリ作家になるという夢がある。その境地に限りなく近づき続けるため、このような邪念とはできる限り距離をとる努力をするのはとうぜんのことといえる。

↑さらば、悪魔よ

 

昔より、よしなき物語、歌のことをのみ心にしめで、夜昼思ひて、行ひをせましかば、いとかかる夢の世をば見ずもやあらまし。
(菅原孝標女更級日記』)

 以前、『更級日記』の紹介記事で、「熱量がうらやましい」と書いたが、じっさいに熱に飲みこまれるとそれはそれでおそろしいものだ。晩年の菅原孝標女の後悔ぶりを心に刻むことにしよう。

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