鍋の中にはカルプフェン

こい(@gyaradus)のブログ

【マンガ】『メジャー 68巻』――マリーンズの佐々木朗希は164キロ13奪三振の完全試合なのにおれはなにをやっているんだ?

 自分の中にあった渦巻く熱気のようなものが、最近は弱くなってきたのを感じる。読書も勉強もしないで、スマホでマスターデュエルばかりをするようになった。すごくおもしろく、駆け引きに熱中できるが、のめりこむ原理自体はギャンブルとあまり変わらず、勝利やランク昇格が報酬代わりになっただけだ。去年あたりから感じていた虚無をふたたび感じながら、近くの海岸をぼやーっとしながら歩く。半裸でスケボーをやっている子どもたちの引き締まった筋肉が眩しい。

 ふと、金がないときに日雇いで物流のアルバイトをやっていた頃のことを思い出した。隙あらば嫌味をいってくる性根の腐った先輩、前職や危ないバイトの経験について話してくれる愉快なおっさんたち、血液型占いがまかり通ってた夜の送迎バス。大学の同級生たちはおもしろがって50円寄付してくれたり、賞味期限間近のカップラーメンやシリアルを進呈してくれたりしていた。タンパク質を摂取すべく、カップラーメンにサバ缶の中身を放りこんでかっこんでいた。78円の8枚入り食パンに直接バター塗っただけなのが1食分。なかなかクレイジーな暮らしぶりだ。しかし、その時間の合間合間に本を読んで、勉強をして、もっと向上する覇気に満ちていた。


 マンガ『メジャー』の66~69巻では、われらが茂野吾郎がスランプに陥る。いわゆる「メジャーにいってからはつまらない」といわれているパートのひとつなんだが、わたしはとても好きだ。目指すものがなくなってから、火の消えたようになるノゴローの姿が、なんだか物悲しい。「ヤケドを少なく」「冷静に淡々と」「大人のピッチング」。対峙していたJr.も「もう少しずれてれば抜けたのによ~」とせこい! こんなん海堂の白目のコーチとかが見たらガッカリするだろ! と今日電書で買ったのを読みながらノゴローたちにやじを飛ばしていた。ワッツは「しょっぱい対決」というし、ギブソンは「見ても時間の無駄」といい切ってしまっていた。

 ここから69巻まででギブソンの復帰が描かれ、そしてそれが最終回につながっていく。こんな状況になることで、このパートになるまでで感じていた『メジャー』のおもしろさの本質が見えてくる。のっけから10点差となるのをひっくり返したり、暴力を振るってくるクレイジーな対戦相手に強烈なタックル返しをしたり、理不尽な夢島を練習をたのしみながら切り抜けたり……。鬱屈した「なにかのお決まり」が、ノゴローの持つ熱気によって、どんどんぶち壊されていくあり様。それが純粋におもしろかったのだ。そこには「使命」も「栄誉」もない。根底にあるのが劣等感だろうが虚栄心だろうが関係ない。理屈など抜きに「挑戦」を続けたいという燃え上がるような熱だけがある。それに価値を感じられれば十分なのだ。

 なんて考えてたら、地元のマリーンズに所属している(佐々木)朗希くんが本日ZOZOマリン完全試合をやってのけた。28年ぶり。しかも13奪三振日本記録を塗り替え。球速は164キロ!? まだ20歳なのに怪物だなあ……というおどろきと同時に、わたしも自分にリミッターを設けずにバンバンやるぞ、という気概をもらえた。

 4月の目標作業時間は45時間とかぬるいことをいっていたが、この際、数学だけでなく、中学高校のほかの学習範囲の勉強も含めて、150時間くらいいってみるか。でもって、1日ごとに逐一記録をまとめるか。わたしはもともと自己顕示欲が強いほうだし、そっちのがモチベーション上がるだろ、と心を改めた。