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こい(@gyaradus)のブログ

【安部公房】『第四間氷期』──2022年8月に読んだ本について

 8月に読んだ本からとくに気になった5作品の紹介をしていく。10月31日になにをいっているんだという話だが、なんかこう、腰を据えて書こうとすると作業をはじめるのが億劫になるから、ここまで怠ってしまった。ということで、今回はとにかく更新することを優先し、「なんかおもしろかった。」で終わっててもいいくらいのカジュアルさで紹介しようと心に決めたのだった。

 


1.『鋼鉄都市』(アイザック・アシモフ

 なんかおもしろかった。……だけだと、未来の自分が読み返したときに困ってしまうのでもうすこし補足しておく。ミス研《リーズニング・クラブ》の8月の課題本。探偵役のイライジャがパートナーのR(ロボット)・ダニールとともに殺人事件の捜査に乗り出す。イライジャが推理する中でダニールの“安全性”に懐疑を向けていくたび、「ロボット三原則」で否定されていく構成が見事。ミステリの「懐疑する」仕組みによって、SF内で配置されている事象が掘り下げられ、やがて保守と革新の対立、人種間・国家間の不信といった社会的な問題の考察へとつながっていく。SF設定を生かした本格ミステリ的な推理・ツイストもとてもおもしろい仕上がりとなっており、まさしくSFミステリの金字塔といっていい一作。続編の『はだかの太陽』も、本格ミステリ的にはややコンパクトになるものの、本作で示された“あるテーマ”について、地球と作中の惑星ソラリアを対比させながら、さらに掘り下げていく、すぐれた作品である。アシモフは“学ぶこと”に前向きなのがいい。

 

2.『第四間氷期』(安部公房)

 知り合いへの誕生日プレゼントに渡そうと『R62号の発明・鉛の卵』を読んでいるうちに、「社会を動かすシステム・パーツとしての人間」という印象が頭に広がり、ここを基点として、公房への解像度を上げることができた。『第四間氷期』は、いまでいえば、「AI・人間以外への生命体への世代交代」のようなテーマがミステリ的な構造を用いて描かれている。「胎児は人間か否か」といったような議論は、「社会のシステムである人間」という観点からみれば、わたしたちの常識を脅かすものとなる。

 

3.『未来いそっぷ』(星新一)

 定石外しのブラックユーモアものとして読んでもおもしろいけど、童話の骨組みをそのまま利用して、社会で生きる人間の原理を掘り起こしていくのが、知的好奇心を刺激する。ちょっと前にいわれてた「子どもの自由な発想~」とかいうでたらめ広報とは比べ物にならない。さすがホシシン。(以上、ツイートした文面の丸コピ)。
 ロアルド・ダールの『へそまがり昔ばなし』同様、こうした昔話改編は、元ネタとの落差が、ダークな笑いを生む一方で、わたしたちの生きる社会の一部分を切り取って見せてくれる。カメに勝てないが人気者になるウサギ、生活を守るために悪人となっていくシンデレラ。「自由な発想」とは、「定石を見透す」ことが出発点なのだ。


4. 『パンセ』(ブレーズ・パスカル)

 学がないわりに勉強してる気分だけはある人間というのは傲慢になりがちで、わたしもそういった輩のひとりである。歴史に名を残す天才中の天才であるパスカルは、「専門性」や「オリジナリティー」といった概念の権威に懐疑を向け、「オネットム」であることを望んだ。冷笑が冷笑を飲みこむ世の中、「軽蔑」や「失望」を感じている自分を見つけたら、危険信号だと思うのがいいのかもしれない。


5. 『デュエル・マスターズFE』(松本しげのぶ)

 勝舞編が無料開放されていたので、無印からSXまですべて読んだ。《ボルシャック・ドラゴン》とか出しながら「速攻!」とかいっていた連載中期(初期はデュエマなんかないよ??)に比べると、カードプールの充実し始めたFEは、カードゲームものとしてかなりおもしろくなった。と、感じているひとは多いんじゃないだろうか。勝利VSホワイトの《母なる大地》からの《ボルメテウス・サファイア・ドラゴン》たちドラゴンの連続召喚は熱いし、バベルやイエスマンのリアニメイトやロック戦術のガチっぷりにはワクワクさせられる。まあ、いちばん好きなのは、ザキラVSキサナドゥのグールジェネレイド4体召喚。あそこはカッコよすぎ。

 


 その他8月の活動


 8月中は先月に続き高校化学を中心に勉強を行った。『宇宙一わかりやすい高校化学(理論化学)』『宇宙一わかりやすい高校化学(無機化学)』をワードホリックで復習しながら、『宇宙一わかりやすい高校化学(有機化学)』の暗記を進めていった。

 理論と無機の学習から時間があまり開いてないこともあってか、すらすらと頭に入る。合成高分子化合物の構造について、アミド結合→駅、炭素水素基→線路、ベンゼン環→山手線で置き換えるおぼえかたがありがたい。《タンパク質の検出》など、本書を読んだだけでは印象が薄い項目は、YouTubeの解説動画の他、『化学の新研究』の詳説を利用して、掘り下げて知識入力を行った。

 これで『宇宙一わかりやすい高校化学』シリーズは完遂したため、『化学重要問題集』に戻っていく。現状、知識中心のA問題は簡単にこなせるが、B問題はまだ解像度をあげる必要があるだろう。

 

 化学といえば志希ちゃんなので、7~8月中、ずっとファン数を増やしていた……。

 

 かわいいよね~。