鍋の中にはカルプフェン

こい(@gyaradus)のブログ

平安文学

【清少納言】『枕草子』「十九 たちは」──「たちは たまつくり。」

たちは たまつくり。 (清少納言『枕草子』) 枕草子(上) (講談社学術文庫) 作者:上坂 信男,神作 光一,湯本 なぎさ,鈴木 美弥 講談社 Amazon 6月中に『枕草子』を完読しようとちまちま読み進めていたら、こんな文章が出てきた。たちは たまつくり。この十九段…

【紫式部】『源氏物語』「幻」「雲隠」──半年ともに過ごした友、死す

源氏物語 巻七 (講談社文庫) 講談社 Amazon 昨夜、『源氏物語』の「幻」を読み終わった。半年かけて読んできた源氏の物語がついにここで終わりを迎える。 この章は虚無にも似た静かさだけがある。前章「御法」で紫の上を喪った哀しみに暮れながら、源氏は自…

【紫式部】『源氏物語』「蛍」──玉鬘が“物語論”をきかされる相手だった理由

瀬戸内寂聴訳の『源氏物語』6巻をそろそろ読み終わりそうなので、残る7巻~10巻を買いに近所の書店にいったが、置いていなかった。 それではまだ下巻しか読んでいない『枕草子』の上と中を買っておこう……と思ったら、講談社学術文庫のコーナーが棚ごとなくな…

【平安文学】『源氏物語』──2022年11月に読んだ本について

ついさっき10月分の読書を振り返ったばかりだが、いまからまたしても瞬足巧打(とは??)で11月分の読書を振り返っていく。 1.『エジプト十字架の秘密』(エラリー・クイーン) エジプト十字架の秘密 (角川文庫) 作者:エラリー・クイーン KADOKAWA Amazon…

【平安文学】『大鏡』──2022年10月に読んだ本について

いつもブログを読んでくださっている皆さまへ ポケットモンスター スカーレット -Switch 任天堂 Amazon とつぜんですが、私はいま自分に失望しています。本来ならば年末に10月~12月までの読書記録を一気に更新する予定でしたが、『ポケットモンスター スカ…

【平安文学】『紫式部日記』──「夢は自分の手で掴みとる」とかいう人間のつまらなさ

かく、人に異ならむと思ひ好める人は、かならず見劣りし、行く末うたてのみ侍るは。(紫式部『紫式部日記』) 紫式部日記 現代語訳付き (角川ソフィア文庫) 作者:紫式部 KADOKAWA Amazon 大学時代の後輩が、小説家をやっている。学生時代に、かれが書いた作品…

【平安文学】『枕草子』「二六〇 御前にて人々とも」──コロナから生還して見る景色

私を苦しめていたコロナもついに去り、10日間ぶりに外出することにした。 高校数学の学参を片手に、舗装工事中の街路や、刈り取られた草木を眺めながら、近辺を歩く。曇りということもあって、空はたいした景色ではなかったが、それでもひさしぶりの自然風景…

【平安文学】『讃岐典待日記』──コロナ食らって気分は堀河天皇

新型コロナウイルスについて、先週(10月31日~11月6日)の週間感染者数で日本は世界1位だったらしい。どうしてまあ、世の中、こんなに感染するひとが多いのか不思議である。マスクをつけ、人混みを避け、会話は距離をとって行う。食事はひとりでする。これだ…

【平安文学】『更級日記』──物語に飢えている状態が恋しい?

更級日記 現代語訳付き (角川ソフィア文庫) KADOKAWA Amazon はしるはしる、わづかに見つつ、心も得ず心もとなく思ふ源氏を、一の巻よりして、人も交じらず、几帳の内にうち伏して、引き出でつつ見る心地、后の位も何にかはせむ。(菅原孝標女『更級日記』) …